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みんな「むしゃくしゃ」してる
八王子の通り魔についてこんな記事があった。「人間関係、むしゃくしゃ」 八王子の無差別殺傷容疑者 (asahi.com)
これまで日常生活で「むしゃくしゃして」という言葉を使う人には一度もあったことがない。まあ使う人がいないとは言わないが、結構特殊な言葉なんじゃないかと思う。話し言葉としても使わなければ、書き言葉としてもほとんど見かけない。唯一、頻繁に目にする、こうしたマスコミ発表される加害者の動機以外は。
なんだか、最近読んだ、この匿名ダイアリーを思いだした。
秋葉銃刀法のウソ
きっと、「むしゃくしゃして」になる過程も同じような状況なのだろう。
警察「なんで通り魔なんてやった」
犯人「…なんというか社会における自分自身の存在が希薄となり…」
警察「うーん、それじゃわかんないや。要はむしゃくしゃしてやったんだろ?」
犯人「…いや、なんというか…心の葛藤が…」
警察「だから、むしゃくしゃしたんだろ!」
犯人「……それでいいっす」
みたいな。
警察が納得する調書を作成するというループ作業のなかで、全てが彼らに分別可能な動機に変換されてしまう。こうして、事件の動機は「むしゃくしゃしてやった」といういつもの理由として片づけられて、もしかしたら動機から得られたかもしれない今後の犯罪防止策も講じられないまま風化していく。
そして、最後に古館が眉間にしわをよせてこう言う。
「まさに現代社会の縮図と言えるのではないでしょうか。警察はキチっと対応して欲しいですね。」
「むしゃくしゃ」と双璧をなすマスコミ発表語「キチっと」については、こちらを参照 → ハリボテのような言葉に囲まれて – 深町秋生の新人日記
ちなみに、Googleで「むしゃくしゃして」で検索したら、全く同じ内容のことを書いているブログがあった。H-Yamaguchi.net: なぜ皆が皆「むしゃくしゃ」するのか