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専門家の主張
「中国の狼少年」(内田樹の研究室)
前半と後半で内容の違う2つの主張をしているのだけれど、その両者に納得。
前半は、大教室での一般教養科目は普通考えられているよりずっと教員にとってハードなものである。しかし大抵はそうした科目は「非常勤」任せで、大学院などは選ばれた一部の教員のものになりがちだという。大学院の講義こそ若手研究者がやるべきだ、というお話。
全くその通りだと思う。いろいろな成り行きで、身分不相応に千葉商科大の大学院のプロジェクトを担当させてもらっているのだが、確かにこちらは学生に半分お任せなので、楽をしている。学部の講義よりずっと負担は少ない。
大学では、まず最初の一般教養でその道のベテランが全体を俯瞰してその学問の魅力を伝えるイントロダクションのような役割を果たして、学年が上がって専門性が高まるほど、若手の研究者が担当し学生をばしばし鍛えるというスタイルであるべき、という意見は確か四万田犬彦も言っていたような気がする。
後半は、うまく要約できないのだが、特定の分野の専門家(主に国際政治の世界で)はその分野が注目されるほど潤う。それは「よいこと」ばかりとはかぎらず、逆に危険さをアピールする方が話題を喚起する。そこで、狼少年のようにその分野での「劇的な愚行」「劇的な失敗」を欲望し、そうなるように世論をリードしてしまうというお話。
なんだか妙に説得力がある。もしそうだとすると、少し恐い話だ。