バイオメディア・アート
Bio Media Art 01 – データの可視化と生成的表現
Bio Media Art 01 – データの可視化と生成的表現
Bio Media Art 概要
生物と人間の新しいインタラクションの可能性
ボタンやスイッチなどの無機的なものだけなく、植物、動物、人間などの生体やそこからの情報を利用する有機的なインタラクションの可能性を探る。
生体情報を美しくみせる
生体のさまざまな情報や、様々な刺激に対する反応を可視化、可聴化することで、新たな植物(生命)の美や映像音響表現を探求する。
「可視化 (= Visualization)」とは
- 可視化 = Visualization
- 人間が直接「見る」ことのできない現象や事象、あるいは関係性を、「見る」ことのできるものにすること
- 見ることのできるもの → 画像、映像、グラフ、図、表など
- 視覚化意外の方法
- 可聴化 – 音によって聴くことができるようにする
- 可触化 – 触れることによって表現する
参考書:「ビジュアライジングデータ」
- ビジュアライジング・データ ―Processingによる情報視覚化手法
- Ben Fry (著), 増井 俊之 (監訳) (監修), 加藤 慶彦 (翻訳)
- オライリージャパン (2008/12/1)
情報の視覚化の7ステップ
- Ben Flyによる、情報視覚化の7ステップ -「ビジュアライジング・データ」より
- データ収集 (acquire)
- 解析 (parse)
- フィルタリング (filter)
- マイニング (mine)
- 表現 (reporesent)
- 精緻化 (refine)
- インタラクション (interact)
- ただし、いつも、全てのステップが必要というわけではない
データ収集 (acquire)
- データを収集する
- ディスク上のファイル
- ネットワーク上のデータ
- この授業では、Arduinoとセンサーを用いて収集した、植物などの生体情報のデータ
解析 (parse)
- データの意味をもとに構造を付加する
- データをカテゴリに分ける
- データの個々の部分の形式が明確になる
フィルタリング (filter)
- 用途にあわない部分を除去する
- データの中で必要とならないレコードを除去
- 数理モデルをあてはめたり、正規化したりするための数学的な処理
マイニング (mine)
- 数学的な処理によって、パターンをみつけだす
- 頻出パターン抽出 – 高頻度で発生する特徴的なパターンを見つける
- 例:本Aを買う人は、後に本Bを買うことが多い
- クラス分類 – 与えられたデータに対応するカテゴリを予測
- 例:薬品の化合物のデータから,その化合物に薬効がある・ないといったカテゴリを予測
- 回帰分析 – 与えられたデータに対応する実数値を予測
- 曜日、降水確率、今日の売上げなどのデータを元に、明日の売上げという実数値データを予測
- クラスタリング – データの集合をクラスタと呼ぶグループに分ける
- Webの閲覧パターンのデータから、類似したものをまとめることで、閲覧の傾向が同じ利用者のグループを発見する
表現 (reporesent)
- 基本的な表示の形式、視覚化のモデルを決定する
- 棒グラフ
- リスト
- 木構造 …etc
精緻化 (refine)
- グラフィックデザインの手法をつかって、表現をさらに明快にする
- より魅力的な表現へ
- 色、形
- 特定のデータに注意を引き付ける工夫 (階層の導入)
インタラクション (interact)
- 対話的な機能を追加
- ユーザによるデータの探索や制御
- サブセットの選択
- 視点の切り替え
月曜の授業では、「表現」「精緻化」「インタラクション」に重点を置いて進めていく予定
様々な可視化の手法に触れる
- Visual Complexty – 700以上のプロジェクトを紹介
Similar Diversity
- Philipp Steinweber, Andreas Koller
- 世界5大宗教の聖典を分析し、宗教と信仰について視覚化している
- http://similardiversity.net/
Visualizing information flow in science
- Moritz Stefaner
- 論文の引用のネットワークを視覚化
- http://well-formed.eigenfactor.org/
Opte Project
- Barrett Lyon
- インターネットの地図
- http://www.opte.org/
The Remotest place on Earth
- Joint Research Centre (European Commission) & World Bank
- 「最も遠い場所はどこか?」世界の主要の都市から移動にかかる時間
- http://www.newscientist.com/gallery/small-world
subblue
- Tom Beddard
- 生成的な手法を駆使した様々な表現
- http://www.subblue.com/
視覚化の手法の調査
- Visual Complexyのサイトから、自分の興味をもった視覚化手法をひとつとりあげてみる
- その視覚化の手法の詳細について調べてみる
- その手法は、Processingで実現可能か?
生成的な表現
- 生成的 (Generative) な表現について考える
- 生成的な表現 (Generative Art)
- コンピュータのソフトウェアによるアルゴリズムから生成される表現
- ある基本原則や数式やテンプレートなどの素材を設定し、そこに無作為または半無作為のプロセスが作用するよう設定する
生成的な表現の例 1.:ウルフラムの1次元セル・オートマトン
- ある特定の時刻(t)における、自分自身とその左右のセルの状態によって、次の時刻(t+1)の状態が決まる
- セルのon/offを、0と1で表現すると可能性は8つ
111 | 110 | 101 | 100 | 011 | 010 | 001 | 000 |
---|
- それぞれの状態での次の値をルールとして定める
- ルールの可能性は全部で256個となる (2の8乗、 8bit)
例:ルール90
111 | 110 | 101 | 100 | 011 | 010 | 001 | 000 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 |
ルール90 = {0, 1, 0, 1, 1, 0, 1, 0}
ルール30 = {0, 0, 0, 1, 1, 1, 1, 0}
ルール110 = {0, 1, 1, 0, 1, 1, 1, 0}
ウルフラムのクラス分類
- クラス 1 – 線形系
- 単一の平衡状態に収束する.つまり,全てのセルが,0 または 1 になってしまう.
- クラス 2 – 非線形系 (周期解)
- 縞模様のような,周期的に無限に繰り返すパターンに収束する.
- クラス 3 – 非線形系 (カオス)
- 単一の状態にも,周期的な状態にも収束せず,カオス的な振舞いをする.
- クラス 4 – 非線形系 (その他)
- 予測しがたい,複雑なパターンで,周期,非周期が交互に現われたり,パターンが消えたりする.
生成的な表現の例 2.:コンウェイのライフゲーム
- 2次元のCA
- ルール
- 誕生 – 死んでいるセルの周囲に3つの生きているセルがあれば次の世代では生きる(誕生する)。
- 維持 – 生きているセルの周囲に2つか3つの生きているセルがあれば次の世代でも生き残る。
- 死亡 – 上以外の場合には次の世代では死ぬ。
Generative Gestaltung
- 膨大な数の生成的なアートの実例を紹介した書籍
- http://www.amazon.co.jp/dp/3874397599/
- サンプルは全てProcessingで作成されていて、全てダウンロード可能!!
- オフィシャルサイト http://www.generative-gestaltung.de/
Generative Gestaltungのサンプルをみてみる
- いくつか環境設定が必要
- まず全てのサンプルコードのパッケージをダウンロード
- http://www.generative-gestaltung.de/downloads/Generative-Design-Code-Package.zip
- ダウンロードしたパッケージを展開して、~/Documents/Processing/以下にコピーする
- 必要となるライブラリをインストール
- Generative Design Lib 1.0.3
- http://www.generative-gestaltung.de/downloads/generativedesign.zip
- Geomerative
- http://www.ricardmarxer.com/geomerative/
- 4つのライブラリ(Generative Design Lib、controlP5、Geomerative、treemap) のフォルダを、Processingフォルダのlibraryにコピーする
- オフシャルサイトの「Codes」から、気になったサンプルを選び、対応するコードを起動してみる
- http://www.generative-gestaltung.de/code
- いろいろ起動して、自分の好きなコードを選択
- 例:M_4_3_01_TOOL
来週までの課題
- Generative Gestaltungのサンプルから、コードを一つ選択して、それをベースに改造する
- コードは、http://www.generative-gestaltung.de/code から選択
- 最低なにか1つの要素を変更してみる
- 色
- 形
- 大きさ
- アルゴリズム
- 来週の授業でかんたんな講評をやります!