前橋工科大学 - デザイン演習 II 2020
第1課題: 「家具の映像」
フランスの作曲家エリック・サティは、1920年「家具の音楽 (musique d’ameublement)」という室内楽曲を発表しました。この曲は、通常の音楽作品のように意識的に聞くのではなく、日常生活の中に溶け込んでその活動を妨げない音楽というものを目指して書かれました。このサティの「生活の中に溶け込む音楽」という考え方そのものを「家具の音楽」と呼ぶこともあります。イギリスの作曲家ブライアン・イーノはこの「家具の音楽」の思想から影響を受けて「アンビエント」という音楽のジャンルを提唱しました。イーノはアンビエントを「聴き手に向かってくるのではなく、周囲から人を取り囲み、空間と奥行きで聴き手を包み込む音楽」と定義しました。その思想の実践として「Ambient Music」と名づけた4枚のアルバムを発表しています。
デザイン演習IIの今年度の情報分野の課題1は「家具の音楽」の思想を継承した「家具の映像」に挑戦します。「家具の映像」とは、映画やTVのようにモニターの正面に座って集中して鑑賞するのではなく、日常生活の中に溶け込んで環境の一部として空間を豊かに演出する映像です。それはほとんど変化の感じられないほどゆっくりと変化する映像かもしれません。もしくは、プログラムのアルゴリズムによって生成され繰り返すことなく常に変化し続ける映像なのかもしれません。実際の制作を通して考えていきます。
課題
住宅の中に設置することを想定した「家具の映像」を制作してください。映像のフォーマットは以下の通り。
- サイズ: FullHD (1920 x 1080)、フルスクリーン再生
- 住居内でモニターまたはプロジェクターを用いた再生を想定
- PCから直接生成された映像を用いること
- 住居の中でどのように設置するのか、プランもあわせて提出すること
スケジュール
- 10月1日 : 課題説明、スタジオ分け
- 10月8日 : 映像制作のための技術レクチャー 1
- 10月15日 : 映像制作のための技術レクチャー 2
- 10月22日 : エスキス 1
- 10月29日 : エスキス 2
- 11月5日 : プレゼンテーションの準備
- 11月12日 : 講評会