前橋工科大学 – 情報メディアデザイン 2024
オリエンテーション、生成系AIとプログラミング
初回の講義はまずオリエンテーションを行います。講義概要の説明と成績について説明して、授業の進め方について解説します。また初回ですので自己紹介をします。
後半は現在急速に進化して世界中の様々な分野に大きなインパクトを与えている生成系AI (Generative AI) とプログラミングの関係について考えます。果たして生成系AIによってプログラマーは必要無くなるのか、それともその必要性は逆に高まるのか、実際に生成系AIのひとつGPT (Generative Pre-Trained Transformer) を使用したプログラムの生成を体験しながら考えていきます。
本日の内容
- オリエンテーション
- 講義内容の説明
- 成績について
- その他注意事項
- 生成系AIについて
- ChatGPT、Bing AI、Midjorney、Stable Diffusionなど
- この授業ではどう考えるか?
- 生成系AIを体験してみる
- 環境設定と次週までの課題
- (時間があれば)自己紹介
オリエンテーション
講義概要
テーマ: プログラミングを用いた表現の基礎を学ぶ
情報メディアを用いた様々な作品の実例を紹介しながら、実際にプログラミングを用いて簡単な作品制作を通して情報メディアデザインについての導入を行う。プログラミングの演習では、初心者を対象に、環境構築からプログラム構造の基本、アルゴリズムを用いたデザインや形態の生成などを学ぶ。この講義はプログラミング初心者を対象としている。プログラミングの経験や習熟度は問わない。
建築・都市・環境工学群では建築、土木、工学デザインと多岐に渡る専門分野が用意されている。現在は自分にはプログラミングは関係無いと考えていたとしても、実際にはどの分野に進むにしてもプログラミングで表現する能力はとても重要なものである。この講義はどの分野を専攻するかに関わらず履修して学習することを推奨する。
成績評価
- 中間課題発表 (30%)
- 最終課題発表 (70%)
履修上の注意
- 特に無し。
受講条件・関連科目:
- 自分のノートPCを授業に持参してくること (BYOD)
- PCの基本操作は理解していること
授業方法:
- 受講者のノートPCを使用したBYOD形式で講義室で授業を行う
参考書:
- 田所淳 Processingクリエイティブ・コーディング入門: コードが生み出す創造表現. (2017). Japan: 技術評論社.
- 田所淳 Beyond Interaction: クリエイティブ・コーディングのためのopenFrameworks実践ガイド. (2020). Japan: ビーエヌエヌ新社.
- 田所淳 演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践: Show Us Your Screens. (2018). Japan: ビーエヌエヌ新社.
- Fry, B., Reas, C. (2014). Processing, Second Edition: A Programming Handbook for Visual Designers and Artists. United States: MIT Press.
- McCarthy, L., Reas, C., Fry, B. (2015). Getting Started with P5.js: Making Interactive Graphics in JavaScript and Processing. United States: Maker Media, Incorporated.
生成AIについて
生成系AI (Generative AI)
- ChatGPT、BingAI、Bard、Midjourney、Stable Diffusion 等
- とてつもないスピードで進化中
- 文章、画像に留まらず、プログラムの生成も可能
- この講義ではどう扱っていくか?
生成AIの現在
疑問 – 生成AIを使って良いの?
※ この意見はあくまでこの実習の担当田所の個人的なものです。生成AIの使用の可否はそれぞれの講義や実習の担当の教員の指示に従ってください
生成AIの登場は、約30年前にインターネットでの検索エンジンのサービスが開始した当時と良く似ている
- Yahoo!(1994)、Infoseek(1996)、Google(2000)
- 今までは想像もできないことだった
- 多くの知識が一般に開放された
- それまでの常識 (勉強、調査、研究) を覆した
- 検索サービス開始当初は反対する人も多くいた
- 倫理的な視点「ネット検索はずるい」「コピペでレポート」
- 学習効率的な視点「ネットで調べても勉強にならない」
- 著作権的な視点「勝手に情報収集」
- 「政府で規制すべき!」という人も
現在はどうなったか?
- ネット検索はあまりにも強力で利便性が高い
- 人類はもう元の社会には戻れない
- いろいろな問題はありつつ、積極的に利用する方向へ
- ネット検索を使えないことのほうが問題に
生成AIは検索よりもさらに強力な可能性を秘めている
- 「検索」から「相談」へ
- 膨大なデータから新たなものを創造(生成)可能
- 様々なメディアに対応 (文章、画像、音楽、映像、プログラム)
- 誰でもすぐに「巨人の肩の上に立つ」ことが可能
ただし問題点も…
- 書かれている内容には嘘が含まれている可能性
→ ハルシネーション(Hallucination) - 情報漏洩 – 機密情報や個人情報などを安易にChatGPTに送信することは危険
- 著作権を侵害しているという問題提起
- 社会に対する影響 (教育・研究活動)
- 「生成AIはチート(いんちき、ずるい)」という意見もあり
「人類はこの数ヶ月でもうすでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」
https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai
- どのようにしたら問題を生じないようにできるのか、その方向性を見出すべく行動することが重要
- その活用の可能性を積極的に探る
生成AIは今後アートやデザインといった創作の分野でも無視できない存在となっていくのは確実
- 今期のデザイン実習IIIcでは「生成AI」に正面から取り組んでいきたい
- まだ非常に新しい分野
- いろいろ試行錯誤しながら…
- 今年やった内容が来年にはもう古くなっている可能性もあり
- まだ誰もやっていなかった新たな作品を創作できる可能性大
John Maeda, The Design in Tech Report 2017
一緒に探求しながら新たなデザインを開拓していきましょう!
生成AIを使用したプログラミングを体験!
p5.js
まず、この講義でメインに使用していく予定のJavascriptのライブラリー「p5.js」について紹介します。
以下のWebページをブラウザで開くだけですぐに使用可能です!
https://editor.p5js.org/
まず始めにユーザー登録をしましょう!
- 右上のメニューの「Sign up」をクリック
- 必要項目を記入して「Sign Up」ボタンで登録完了
生成AIでプログラミング
- 次に、p5.jsのコードを生成するためのAIサービスを選択
- 今回は、Microsoft Copilotを使用してみます!
- https://copilot.microsoft.com/
例えば以下のようなプロンプト (AIに与える指令) で試してみる
p5.jsというJavascriptのライブラリーを用いて、 かわいいキャラクターを描くプログラムのソースコードを生成してください。
※「p5.jsというJavascriptのライブラリーを用いて」というように生成するプログラミング言語やライブラリー名(p5.js)を指定することで、生成するコードが動作する確度が高くなります!
生成結果…
次回までの課題
課題その1 : 開発環境の準備
- 最新のChromeをインストール
- p5.js Editorにユーザー登録
課題その2 : GPTを活用してプログラミング!
- p5.js Editorにログインしてから作成
- Microsoft Copilotに指示を与えてプログラミング (テーマは自由です)
- 気にいった出力が得られたら、p5.js Editorでファイルを保存
- 以下からURLとプロンプトを提出
https://forms.gle/3TGsSFRVfzwAVDWS7
4月17日 23:59締切とします!