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読書の秋

相変らず、ゆっくりと走ってます。

最近は1時間走っても、筋肉痛になったり膝が痛くなったりしなくなり、わずかでも成果がみえはじめると、徐々に楽しさが増してきた。精神的にも安定するような気がする。やっぱり脳内麻薬が出ているのだろうか。これもLSDのおかげか。この回だけ日記の読者は誤解しそうだ。

最近は、山野井泰史さんというクライマーに関する本をたて続けに2冊読んだ。一つは、本人が自身のクライミング半生を綴った「垂直の記憶」。もう一冊は沢木耕太郎が山野井について書いた「凍」という本。

この本を読むまで知らなかったのだが、最近の第一線の登山は、以前のようにベースキャンプから第一キャンプ、第二キャンプと徐々に基地を広げて最後に数十人のなかの1、2人が頂上に立つというような方法はとらないらしい。こうした旧来の方法を「極地法」といって、昔、橋本龍太郎が隊長をしてエベレストに登ったりしたのはこの方法。その結果大量のゴミや酸素ボンベやロープが山に捨てられる。

それに対して山野井をはじめとする最近のトレンドは、「アルパイン・スタイル」という、一人または数人でベースキャンプから一気に頂上を目指して登り、またベースキャンプまで降りてくるという方法。結果として荷物は最低限の物しか持たず、もちろん酸素ボンベなどもないので無酸素で8000m級の山に登ってしまうらしい。しかも、わざわざ難しいルートを選んで。

全てのエピソードが、とにかく凄い。酸素が薄いところではのんびり寝ていると脳や体がやられてしまうので、ちょっと仮眠する程度で基本はひたすら登りつづける。山では3日間くらい寝なくても平気なのだそうだ。食料もたいしたものを持っていないので、フリーズドライの簡単な食事ですませ、あとはブドウ糖の錠剤を齧りながら登る。

そしてついに、2002年に夫婦でヒマラヤで雪崩にまきこまれてしまう。入山して8日間、瀕死の状態でサバイバルしていく。何度も雪崩にまきこまれ、疲労も重なって失明してしまう。それでは崖の様子がわからない。仕方が無いので素手で感触を探りながら下山しているうちに、手足のほとんどの指が凍傷でミイラのように壊死してしまう。酸欠と疲労で胃液を吐きながらも、ぼろぼろの状態でなんとか帰還する。もう壮絶すぎて、想像が及ばない世界だった。最後のビバーグ地点でもう衰弱しきった奥さんをみて、ここで写真を撮ろうという。もしかしたらこのまま死んでしまって、もう会えないしれないから。写真を撮った後、その場に奥さんを残して下降し、独力でなんとかベースキャンプまで辿り着く。そこで、たまたま様子を見に戻ってきていた現地のチベット人に遭遇しなんとか帰還する

それでも、その時のクライミングを振り返ると「すがすがしい気持ち」なのだそうだ。うーん、凄すぎる。