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美化される記憶
過激さは異るものの、似たような視点の2つの文章。
肝腎の「三丁目の夕日」自体を未見なので、映画のことは予告編くらいの知識しかないのだけれど、建設途中の東京タワーが希望の象徴のようで印象的だった。こうした過去を美化した内容の言説の後には大抵「それに比べて現代は…」的な内容が続くことが多いのだが、現在の認識と過去の記憶がはたしてきちんと一致しているのかどうかは確かにだいぶ怪しい。
ワイドーショーなんかだと「凶悪化する少年犯罪」というネタが大好きだけど、例えば少年の尊属殺人の件数は昭和30年代は現代の倍近かったりする。(参考:親殺し統計グラフ – 少年犯罪データベース)。でもそういう事件は記憶に残りづらいのかもしれない。そもそもあたりまえすぎてニュースにもならなかったのかもしれないし…。
30〜40年くらい経ったら、閉塞感に満ちているように感じる現代も夢と希望に溢れた美しい世界として記憶されているのかもしれない。その際には、夕日にキラキラと輝く建設中の六本木ヒルズを希望の象徴として描いてほしい。