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中年の危機?
今年もあと数週間で終わってしまう。ものすごく平凡な感想だが、あっという間に終わってしまった。
「ゼロ年代」ももうすぐ終わる。といっても、いままで「ゼロ年代」という言葉を実際に会話の中で使っている人に会ったことはないが。もしかしたら、あんまり一般的な用語ではなく、一部の批評系カルチャーの専門用語なのかもしれない。いずれにしても、2000年から2009年までの10年間は、僕個人にとっては特に際立った印象もなく、あまり何もないまま終わろうとしているような感じがする。とはいえ、この10年間を振り返ると、結婚をしたり、引越しをしたり、就職したり、またフリーランスに戻ったりといろいろあるにはあったが。
ここ10年ほど、あまり波風のない人生を送っているうちに、気がつくと40代が目前に迫ってきて愕然とする。数年前まで、自分が40歳になるなんて想像がつかなかった。いや、今もあまり信じられない。中の人格は中学生くらいのころから全然変化していないような気がする。とはいえ、最近iPhoneからustreamしようとして、スクリーンに映った自分の顔をみると、どこからみても40歳手前のオッサンの顔だったのだが。
最近、周囲の同年代の知人を見ると、自分を含めていろいろ悩んでる人が多いように感じる。徐々に人生の残り時間が意識されるようになってきて、それと比較して自分の今までやってきたことは果してこれで良いのだろうかと考えてしまうのかもしれない。こういうのを「中年の危機」っていうのかな? 違うかもしれないけど。
ちょっと気になってググってみた → ミッドライフ・クライシス(中年の危機)
いろいろ興味深いのだが、引用されていたユングの講義中の発言が、特に参考になる。
年をとれば、自分自身や世界などの両義性を知ることがきわめて重要になってきます。疑うことは知恵の始まりです。人生の価値を疑い始めることはきわめて重要であり、そうして世界の錯綜から自らを解放することができるようになるのです。若い人たちは疑いの中で生きることができません。人生に対して深刻な疑いをもてば、世界に入っていけなくなります。しかし成熟した人は世界からもっと分離すべきです。人生の半ばをすぎれば、それは完全に正常なことです。
この「人生の価値を疑い始めること」という部分に、なるほどなと思う。
若い頃は、自分の人生で一度くらいは、才能が花開き、大勢の人から評価され、社会的な地位が得られる時期が来るに違いないという、根拠のない自信のようなものが漠然とあった。でも、30代後半になったいま、もしかしたら一生そういう時期は訪れないのかもしれないと思うようになる。考えてみると、世の中の大半の人は世の中に広く知られることなく無名のまま死んでいくのだから、自分もその一人に過ぎないんじゃないかと考えるようになる。そうした現実が徐々にリアルになるにつれて、焦ってくるのかもしれない。
まあ、有名になることだけが人生ではないので、後半戦いかに自分にとって充実したことができるか、ということなのかもしれない。ただ悩んでいてもしょうがない。さっきのページの最後のセンテンスにぐっとくる。
この「危機」を乗り越えようとする過程で多くの人が体験することのイメージとして、「夜の海の航海(night sea journey)」があります。心が暗闇の中にあって、出口の光が見えず長らく低迷する状態です。しかし、航海がそうであるように、いつかは闇の世界から脱出する時が来ます。
そうなるといいなあ。