Web動画表現技法 2009
第4回:映像のカノン
前回まで学習してきた、タイムラインを用いたアニメーションで、「映像のカノン」を作成してみましょう。
映像のカノンとは、「輪唱」のように一つのテーマを繰り返すことで、映像のハーモニーを生み出そうという実験です。Flashを用いた制作方法を解説していきます。
カノンって何?
カノン(かのん / canon英語フランス語Kanonドイツ語)
音楽用語。「規範」を意味するギリシア語に由来し、もっとも厳格な模倣対位法様式による作曲技法をさす。この意味でのカノンは二つ以上の声部から成り立ち、一声部(先行声部)の旋律を他の声部(後続声部)が厳格に模倣してともに進むもので、いわゆる輪唱はもっとも単純なカノンの一種である。声部の数により二声カノン、三声カノンのように表示されるほか、先行声部と後続声部との音程関係により、五度のカノン、八度のカノンなどとよばれる。カノンには後続声部の模倣の仕方によってさまざまな種類がある。単独で、あるいは組み合わせて楽曲全体またはその一部に用いられる。(抄録)
「大日本百科全書」(ニッポニカ)より引用
映像のカノン
カノンをメロディーではなく、映像で表現することを試みる。同じ動きを繰り返していく映像を一つの声部にみたてて、そのシーケンスを同じ長さづつずらしていくとで「映像のカノン」を作る。
このアイデアは、ノーマン・マクラレンの1964年の作品「カノン」に見ることができる。
ノーマン・マクラーレン「カノン」視聴(DVD)。
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ポイント
- 様々なカノンのバリエーション:移調、反転、変奏、etc.
- 時間の構成
- 音との同期
「カノン」Flash版を作る
基本形:4声のカノン
変奏1:色によるヴァリエーション
変奏2:変形と色によるヴァリエーション
ソースファイルのダウンロード
「カノン」の作成方法
- ムービーの1フレーム目にアニメーションさせるオブジェクトを描きシンボル化する。シンボルのタイプは「グラフィック」。(詳細は前章の説明を参照)
- アニメーションと同期させるサウンドトラックの長さにあわせて、「挿入」→「フレームを挿入」でフレームを挿入。この例では、193フレーム。フレームは「挿入」→「モーショントゥイーンを作成」でモーショントゥイーンにして、イージングを設定しておく。
- 音楽の拍(リズム)のフレーム数先に進み、「挿入」→「キーフレーム」でキーフレームを挿入。この例だと、一拍が1秒で、ムービーが12flame/secなので、12フレーム先にすすめて13フレーム目にキーフレームを挿入。キーフレームを選択た状態で、ステージ上のオブジェクトを移動する。
- さらに一拍分先に進め、キーフレームを挿入し、物体を移動。この例では、13 + 12 = 25フレーム。
- この操作をくりかえして、最後のフレームまで物体を移動していく。
- メニュー「挿入」→「レイヤー」を選らんで、タイムトラックのレイヤーを追加する。
- 矢印ツールを使って、1つ目のレイヤーすべてを選択する。選択された状態で「編集」→「フレームのコピー」でフレームをコピーする。
- 2つ目のレイヤーに移動して、「編集」→「フレームのペースト」でコピーしたフレームを貼り付ける。
- 全てが選択されている状態でマウスをドラッグして、音楽の1小節分だけ右へずらす。この例では、49フレーム目までずらしている。
- この操作を3回繰り返し、おなじ幅づつ右へシフトした、4つのレイヤーを作成する。
- 「ファイル」→「読み込み」でファイルダイアログを表示して、音声ファイルをインポートする。インポートされた音声はライブラリに登録されている。
- 「挿入」→「レイヤー」で新規にレイヤーを作成し、ライブラリパレットから作成したレイヤーに音声を貼り付ける。
- 貼り付けたサウンドのフレームを矢印ツールで選択すると、プロパティインスペクタにサウンドの設定が表示される。「同期」のプルダウンメニューから、「ストリーミング」を選択する。
- 「ファイル」→「パブリッシュ」を選択して、ムービーをパブリッシュする。htmlファイルとswfファイルが生成される。これで完成!