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from ベルファスト2
4月21日。今日はついにライブの日。朝7時過ぎに起きて、ホテルで朝食をとる。大豆をトマト味で似たものや、ねっとりとしたソーセージ、ぶ厚いベーコン、焼いたトマト、ソテーしたマッシュルームなど典型的なアイルランドの朝食(らしい)。「地球の歩き方」の写真を見て予想していたより、ずっと美味しかった。おそらく、これを日本に置きかえると、旅館で納豆と生卵と海苔でご飯を食べているような感じなのだろう。
朝9:30からリハーサルの予定なので、朝食後すぐにライブに必要な機材を荷造りして、ホテルを出る。会場はホテルから徒歩で20分ほどいった場所。クイーンズ大学の付属の施設である、Sonic Arts Research Centre(SARC) という場所。道に迷わないよう地図を凝視しながら、なんとか無事に到着。会場で久保田さん、山路さんと待ち合わせ。
今回の会場であるSARC内にあるSonic Lab.というホールがとんでもないハイテクホールで、客席を取り囲むように360度スピーカーが配置されているのみならず、天井やなんと床下にもいくつものスピーカーが配置されている。合計112個のスピーカーがあるそうだ。しかも一つ一つがGenelecの巨大なモニタースピーカーだったりして、とても豪華なPA設備だった。ProTools用の巨大なコンソールで膨大なチャンネル数を管理していた。今回のLTJQ-1は、それぞれのメンバーが天井、床下、フロアとそれぞれ3つのレイヤーに分かれてチャンネルを割り振り、各自が4chで立体的な定位して112のスピーカを生かした3D音響を目指す予定。ところがいざ音を出してみると、PAがあまりにハイエンドなので、歪んだ音で空間を埋めつくそうとしてもきれいに分離されてしまう。なかなか練習の際と出音のイメージが違い、戸惑いながらも、いろいろ方針を打ち合わせる。
お昼過ぎにはひと通りリハも終了。大学のキャンパス近くの中華料理なのになぜか「京都」という店名の店でランチ。その後、フェスティバルの昼間のプログラムを聴きにいく。クイーンズ大学の音楽学部の中にある煉瓦造りの趣きあるホールで、ライブエレクトロニクスの作品やテープ作品のコンサートを聴く。ヨーローッパの正統派を踏襲した真っ当な電子音楽という感じ。たまには良い音でこうした王道を行く現代音楽作品を聴くのも悪くない。
コンサートの後、まだ本番 (23:00- ) まで時間がかなりあるので、各自ホテルに戻り休憩とパッチの手直し。僕もパッチをちょっといじってみるものの、睡魔には勝てず、ちょっと昼寝。このおかげで、夕方にはばっちり体力が復活した。18:00過ぎにまた同じ道を引き返し、SARCに戻る。
SARCのSonic Labでは、出演するコンサートの一つ前に、Smith quartetteという現代音楽の曲をレパートリーとする弦楽四重奏のグループの演奏があったので見物。現代の弦楽の演奏にはまったく詳しくないのだが、様々な奏法のオンパレード。バイオリンなどから色々な音がでるのでびっくりした。器用じゃないと絶対できなさそう。
Smith quartetteのコンサートも終わり、いよいよ本番の準備開始。といってもラップトップを設置するだけなのであっけなく終了。あとは本番を待つのみ。20分ほど前になってもドアの前にほとんど客がおらず焦ったが、時間になっていざドアをオープンしてみると、50人ほどの入り。こんな夜中からのコンサートなのに嬉しい。
LTJQはいきなりトップバッターでの演奏。久保田さんの空気を切り割くようなノイズを合図に20分の演奏をした。半分は決め事があるが残りの半分は即興というようないつものスタイルで、徐々にボルテージを上げながら一気に駆け抜ける感じ。最初は緊張したが、徐々に調子にのってきた。いままでのカルテットの演奏の中でも良くできた方なのではないだろうか。自画自賛。
自分の演奏さえ終われば、気楽なもの。残りの演奏をお客さんとして純粋に楽しむ。ライブ終了は夜中の1:00頃。機材を撤収し、近所のパブで軽く打ち上げ。ライブ終了後の打ち上げで飲むビールほど旨いものはない。安堵感に包まれながら軽く呑んだあと、徒歩でホテルに戻る。途中でBishopという店で買ったフィッシュ&チップスをつまみながら帰る。旨い。